アートセラピーは、創作をとおして内側を表現することです。
ココロの状態をよくしたり、何かの道しるべを得たり、脳を活性化したり…
たくさんの可能性を秘めています。
元になるのは、「存在論的人間観」。
「何ができるかではなく、その人の存在そのものを喜ぶ。そこにいてくれることを感謝する。」という考え方です。
わたしが学んだ臨床美術は、
絵画や立体造形などの創作活動で、脳機能の活性を促すことがねらいです。
医療・美術・福祉の壁を超えたアプローチが特色で、始まりは認知症の症状改善でした。
いまでは、発達が気になる子どもへの支援や子どもたちの感性を育む教育、福祉教育の分野でも評価されています。
臨床美術の目的は、作品を完成させることやキレイに描くことではありません。
創作活動そのものを楽しんで、喜びを味わっていただくことです。
「臨床美術心得帳」から、心がけたいことを紹介します。
指示と違うことをしたり、一般的なイメージと違う色を選んだりしても、「ちがう」と言わないでください。
作品をほめるときは、「うまい」「じょうず」といった言葉を使わず、具体的にほめるようにしてください。
筆の運びが遅かったり、制作が時間内に終わりそうにないときでも、すぐに手伝わないでください。
遅れたり、なかなか描けなかったりしても、急がせないでください。
臨床美術をしているときは、それを止めないようにしてください。
臨床美術をとおして、「サポートする方もアートの楽しさを味わう」ということを、大切にしています。
年齢や障がいを超えた、深いコミュニケーションを実現するためです。
学校では体験できないことを重ねて、健康で豊かな感性を育みましょう。